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EVの基礎知識・導入編
電気自動車(EV)バッテリーの基礎基本!仕組み・種類・容量・寿命までわかりやすく解説
2026年4月17日 更新
EV(電気自動車)に乗っている方、あるいはこれから購入を検討している方にとって、気になるのが「バッテリー」のことではないでしょうか。
- 「EVのバッテリーってどんな仕組みなの?」
- 「どれくらいで劣化するの?」
- 「電気代は本当に安いの?」
など、なんとなく不安や疑問を感じている方も多いはずです。

EVはガソリン車と違い、エンジンではなくバッテリーの電気で走るクルマです。つまり、バッテリーはEVの“心臓”ともいえる存在。
ここをしっかり理解しておくことで、日々の使い方や維持費の考え方も大きく変わってきます。
とはいえ、専門用語が多くて難しそう…と感じる必要はありません。ポイントを押さえれば、EVバッテリーの仕組みや特徴はシンプルに理解できます。
このコラムでは、EVのバッテリーをテーマに、基本的な仕組みから容量の見方、寿命や劣化の考え方まで、EVオーナー目線でわかりやすく解説します。
これからEVと長く付き合っていくために、まずはバッテリーの基礎から一緒に見ていきましょう。
EVバッテリーの基本:駆動用バッテリーと補機バッテリーの違い
EVには、実は2種類のバッテリーが搭載されています。
ひとつは、車を動かすための「駆動用バッテリー」。もうひとつは、ライトやカーナビ、エアコンなどを動かす「補機バッテリー」です。
駆動用バッテリーは、いわばEVのメイン電源です。
大容量の電気を蓄え、モーターに電力を供給することで車を走らせます。一般的に「EVのバッテリー」といえば、この駆動用バッテリーを指すことがほとんどです。
一方で、補機バッテリーはガソリン車にも搭載されている12Vバッテリーと同じような役割を担っています。ドアの開閉やライトの点灯、ナビの起動など、車の各種電装品を動かすために使われます。
つまり、EVは「大きなバッテリー1つで動いている」のではなく、役割の異なるバッテリーを組み合わせて動いているのです。
EVバッテリーの仕組み
EVは、バッテリーに蓄えた電気を使ってモーターを回し、その力で走行します。
ガソリン車のようにエンジンで燃料を燃やす必要がないため、走行中に二酸化炭素を排出しないのが特徴です。また、モーターはアクセル操作に対してダイレクトに反応するため、スムーズで静かな走りを実現できます。
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さらに、EVならではの特徴として「回生ブレーキ」があります。これは、減速時のエネルギーを電気として回収し、再びバッテリーに充電する仕組みです。これにより、エネルギーを効率よく使えるようになっています。
難しく感じるかもしれませんが、シンプルに言えば「電気を使いながら走り、減速時に少し回収する」というサイクルで動いているのがEVです。
EV自体がどのような仕組みで走っているのか、エンジン車との違いなどについてはこちらのコラムでご紹介していますので、ご参考ください。
EVバッテリーの主流はリチウムイオン電池
EVに使われているバッテリーにはいくつか種類がありますが、現在の主流や今後の技術を押さえておくことで、EVへの理解がさらに深まります。
現在、市販されている多くのEVで採用されているのが「リチウムイオン電池」です。
リチウムイオン電池は、スマートフォンやノートパソコンなどにも使われている身近な電池ですが、EVではより大容量・高出力なものが搭載されています。
特徴としては、以下のような点が挙げられます。
- 軽くてエネルギー密度が高い(たくさん電気をためられる)
- 充電と放電を繰り返しても性能が落ちにくい
- コンパクトに設計できる
これらのメリットにより、EVの航続距離を伸ばしつつ、車体の重量増加を抑えることが可能になっています。
一方で、高温に弱いといった性質もあるため、車両側で温度管理(バッテリー冷却・加熱)が行われています。
リチウムイオン電池で充電したり放電する仕組み
リチウムイオン電池は正極と負極つまり電池の+と-極をリチウムイオンが移動することで電気を出し入れしています。
電子が行き来することで電気の出し入れが行われている鉛蓄電池とは電気を運んでいる物質こそ違いますが、化学反応によって電気を作っているという基本構造は一緒です。
リチウムイオン電池の種類とそれぞれの得意分野
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リチウムイオン電池とひと口にいっても、実は使われている材料の違いによっていくつかの種類に分かれています。それぞれに特徴があり、用途に応じて使い分けられています。
代表的なものとしては、
- 「コバルト系」
- 「三元系(ニッケルなど3種類の金属を組み合わせたもの)」
- 「リン酸鉄系」
などがあります。
たとえば、コバルト系は多くの電気をためられる(エネルギー密度が高い)という特徴があり、スマートフォンやノートパソコンなどの小型機器で広く使われています。
EVで主に採用されているのは三元系で、こちらもエネルギー密度が高く、長い距離を走る必要がある自動車に適しています。
一方で、リン酸鉄系は比較的コストが低く、充放電を繰り返しても劣化しにくい(寿命が長い)というメリットがあります。そのため、近年ではEVや家庭用の蓄電池などでも採用が広がっています。
このように、同じリチウムイオン電池でも種類によって「航続距離重視」「コスト重視」「長寿命重視」など特徴が異なるため、車種によって採用されているバッテリーも異なります。
参考:バッテリーの基礎知識 第2回 リチウムイオン電池の構造・仕組み・種類 | 新着情報 | 古河電池株式会社
リチウムイオン電池の形状の違い|円筒形・角形・ラミネート形とは?
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リチウムイオン電池は、使用される材料だけでなく「形状」によっても種類が分かれています。代表的なのは以下の3種類です。
- 円筒形
- 角形
- ラミネート形(パウチ形)
それぞれに特徴があり、用途に応じて使い分けられています。
円筒形:強度が高く扱いやすい
- 円柱状で構造的に強度が高い
- 衝撃に強く、安定した性能を保ちやすい
主に電動工具など、負荷のかかる用途で利用されています。
角形:スペース効率が高くEV向き
- 四角形で隙間なく配置できる
- 大容量化しやすい
EVや蓄電池など、多くの電池を組み合わせて使う製品で採用されています。
ラミネート形(パウチ形):軽量で薄型に適している
- 軽量で薄型に設計しやすい
- 形状の自由度が高い
スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器で広く利用されています。
参考:リチウムイオン電池の種類~それぞれの特徴や安全性、用途などを解説 | コーティングマガジン | 吉田SKT
注目されている全固体電池とは?
近年、次世代のEVバッテリーとして注目されているのが「全固体電池」です。
現在主流のリチウムイオン電池は、内部に液体(電解液)を使っていますが、全固体電池はその名の通り、すべてが固体で構成されています。
これにより、以下のようなメリットが期待されています。
- 発火リスクが低く、安全性が高い
- より多くの電気を蓄えられる(航続距離の向上)
- 充電時間の短縮
ただし、現時点ではコストや量産技術の課題があり、一般的なEVへの本格的な普及はこれからとされています。
とはいえ、今後のEV性能を大きく左右する技術として、多くのメーカーが開発を進めている分野です。
バッテリー容量の見方:kWhとkWの違い
EVバッテリーを理解するうえで、多くの人がつまずきやすいのが「kWh(キロワットアワー)」と「kW(キロワット)」という単位です。
似ているようで意味はまったく異なるため、ここでしっかり整理しておきましょう。
kWh=どれだけ走れるか(タンク容量)

「kWh(キロワットアワー)」は、バッテリーにどれだけの電気をためられるかを表す単位です。
イメージとしては、ガソリン車でいう「燃料タンクの大きさ」に近いもの。数値が大きいほど、より多くの電気を蓄えられるため、長い距離を走れる傾向があります。
たとえば、同じ条件であれば、
- 40kWhのEV → 比較的短距離向け
- 60kWhのEV → 日常利用+長距離も安心
- 100kWhのEV → 長距離ドライブ向き
といったイメージです。
例として、軽EV「日産サクラ」はバッテリー容量が20kWh、航続距離は180km(WLTCモード)となっています。
一方で、EVSUVの「日産アリア」のバッテリー容量は66kWhであり、航続距離は640km(WLTCモード)となっています。
バッテリーの容量kWhが大きければ、その分長い距離を走れますが、車両価格も高くなりますので、実際に利用するシーンで必要な走行距離から、バッテリー容量を選んでいくことが賢明でしょう。
参考:日産:サクラ [ SAKURA ] 軽自動車|充電・航続距離|航続距離・バッテリー
参考:日産:日産アリア [ ARIYA ] SUV|航続距離・充電
kW=パワー(加速性能)
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一方の「kW(キロワット)」は、モーターの出力やパワーを表す単位です。
こちらは、ガソリン車でいう「馬力」に近いイメージ。数値が大きいほど、加速が力強くなり、坂道や高速道路でも余裕のある走りができます。
つまり、
- kWh → 航続距離に関係
- kW → 走りの力強さに関係
と覚えておくと分かりやすいでしょう。
容量ごとの航続距離の目安
実際にどれくらい走れるのかは、バッテリー容量(kWh)によっておおよそ決まります。
一般的な目安としては以下の通りです。
- 約40kWh:200〜300km前後
- 約60kWh:300〜400km前後
- 約100kWh:400〜600km以上
※走行環境(気温・速度・エアコン使用など)によって大きく変動します。
このように、EVバッテリーは「容量」と「出力」の両方を見ることで、性能を正しく理解できます。
EVでも「バッテリー上がり」は起こる?原因は12Vバッテリー
EV(電気自動車)はガソリン車と違いエンジンがないため、「バッテリー上がりは起きない」と思われがちですが、実はEVでもバッテリー上がりは発生します。
ただし、その原因は多くの方がイメージする「駆動用バッテリーの残量不足」ではありません。
駆動用バッテリーの残量が不足してしまい走行できなくなる、いわゆる電欠よりも、補機バッテリーの消耗で起こるバッテリー上りに注意しましょう。
駆動用バッテリーが残っていても動かない
補機バッテリーが上がってしまうと、システムの起動や制御ができなくなるため、
- 駆動用バッテリーに十分な残量がある
- 走行自体は可能な状態
であっても、車を動かすことができません。
復旧しても念のためディーラーでバッテリーをチェックしてもらいましょう
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復旧するためにはエンジン車と同じく、ほかの車両とバッテリーをつないで行うジャンプスタートを行います。
起動ができればそのまま走行可能です。しかし、補機バッテリーが弱ってしまっている場合にはまたバッテリー上りが起こってしまう可能性が高いです。
そのため、念のためディーラーで見ていただく方が良いでしょう。
EVバッテリーの寿命と劣化のリアル
EVを検討・利用するうえで、多くの方が気になるのが「バッテリーはどれくらい持つのか?」という点です。ここでは、基本的な考え方だけをシンプルに押さえておきましょう。
バッテリー寿命は何年くらい?
EVバッテリーの寿命は、一般的に8年程度または16万kmが目安とされています。
また、多くのメーカーでは「8年または一定走行距離まで」といったバッテリー保証を設けており、極端に早く使えなくなるケースは少ないといえるでしょう。
そのため、「数年で使えなくなるのでは?」といった心配は、過度にする必要はありません。
劣化するとどうなる?
バッテリーは長く使うほど少しずつ性能が低下していきますが、これはスマートフォンと同じイメージです。
主な変化としては、
- 満充電しても走れる距離(航続距離)が短くなる
- 充電の持ちが徐々に悪くなる
といった点が挙げられます。
ただし、急に使えなくなるわけではなく、緩やかに変化していくのが一般的です。
劣化を早める主な原因
バッテリーの劣化は使い方によっても左右されます。代表的な要因としては以下のようなものがあります。
- 高温環境での使用・保管
- 常に満充電・過放電の状態を続ける
- 急速充電の頻繁な利用
日常のちょっとした使い方で、バッテリーのコンディションは変わってきます。
EVバッテリーは正しく使えば長く安心して使えるものですが、より詳しく知りたい方は、寿命の目安や劣化を防ぐ具体的な方法をまとめたこちらのコラムも参考にしてみてください。
EVバッテリーを正しく理解して安心して使おう

EVバッテリーは、仕組みや特徴を知ることで「難しそう」というイメージが大きく変わります。
本記事でご紹介したように、EVバッテリーはリチウムイオン電池を中心に進化しており、容量の見方や種類、寿命の目安などを押さえておけば、日常的な利用において過度に心配する必要はありません。
また、バッテリーは使い方によってコンディションが左右されるため、基本的なポイントを意識することで、より長く快適に使い続けることができます。
EVはこれからさらに普及が進むといわれており、バッテリーへの理解はそのままEVライフの満足度にもつながります。
まずは基本をしっかり押さえ、ご自身の使い方に合った形でEVを活用していきましょう。




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